「北アルプスのトイレ事情」(信濃毎日新聞社編)という書籍を中古で買って読んだ。2002年発行なので今から20年も前の話だが、当時の北アルプスで山小屋任せにされてきた垂れ流し状況を問う一冊だ。
20年経ったいま、北アルプスのトイレ事情はどうなっているのだろう。今回の山行きで、薬師沢小屋、雲ノ平山壮、高天原山荘に泊まったので、道中利用させてもらったトイレも含め、2023年夏時点のホットなトイレ事情を探ってみた。
北アルプストイレ事情 信濃毎日新聞社編
日本きっての山岳観光地、北アルプス。近年の登山ブームに伴う環境悪化など、これまで山小屋任せにしてきた垂れ流し状況を問う必読の書。『信濃毎日新聞』連載をまとめる。
北アルプスのトイレ事情ー続報
太郎兵衛平公衆トイレ[洋式]
太郎平小屋の裏側(西側)にある。平成15年(2003年)に設置された簡易水洗のバイオトイレ。
富山の今を伝えるトヤマジャストナウにはこんな情報が載せられている。
そのし尿処理方式には、山岳地の自然環境に配慮した「土壌処理循環型」を採用。バクテリアが汚物を分解し、酵素で液化・消臭することにより、少量(約250cc)の水で洗浄できる。また、処理水の一部が蒸発するほかは汚水などが一切外部に流出しない「自己処理型」で、環境にもやさしい
2004年 7月 14日付のトヤマジャストナウ、No.152-2:薬師岳登山の拠点・太郎兵衛平(大山町)にバイオ式公衆トイレ新設
わたしも利用させていただいたが、きれいに掃除されていて、臭いもほとんど気にならなかった。
薬師沢小屋[洋式]
平成17年(2005年)に改築されたオガクズ処理設備のバイオトイレ。オガクズ方式なので、非水洗で水を使わないし、トイレットペーパーも投入できる。
もっと知りたい方は、薬師沢小屋のスタッフ、やまとけいこさん著「黒部源流〜山小屋暮らし〜」の「バイオトイレと五右衛門風呂」(第三章)にイラスト付きで分かりやすく、ユーモアを交えて書かれている。
薬師沢小屋には2泊させていただいた。きれいに掃除されていて、臭いもそれほど気にならなかった。狭いのが難点だが、これは上に紹介した書籍にも書かれているように、土地スペースの問題で仕方ない。
雲ノ平山荘[和式]
平成21年〜22年(2009年〜2010年)に建て替えられた雲ノ平山荘に新たに設置された雨水を利用した簡易水洗のバイオトイレ。
きれいに掃除されているが、臭いがちょっときつめ。ただ、各トイレに大きめの窓が設けられていて風通しもよく、雲ノ平の美しい景色が見えるのもうれしい。トイレのすぐ外に雨水を溜めるタンクらしきものがある。
雲ノ平キャンプ場[和式]
いつ設置されたかは不明。
雲ノ平山荘から30分ほど離れていることもあって、掃除が行き届かず超汚いといううわさを聞いていたので覚悟して行ったが、意外ときれいで、臭いも山荘のよりちょっときついかなという程度。たまたまなのか、いつもこうなのかは定かでない。
高天原たかまがはら山荘[洋式]
平成25年(2013年)に改築された土壌処理設備のバイオトイレ。
登山とスキーの一体化を目指して、五十嶋博文(太郎平小屋グループ代表
今回使用したトイレの中でいちばん快適だった。きれいに掃除されていて、臭いもまったくと言っていいほど気にならない。スペースも広々としている。
結論、山のトイレは20年前に比べてだいぶ改善されているようだ。ここまで改善するのに計り知れない労力が必要だったに違いない。
山岳トイレーわたしにできること
「北アルプスのトイレ事情」を読み、山小屋で働く方々の大変なご苦労を知って以来、山岳トイレの問題に取り組むうえで登山者のわたしに何ができるかをいろいろ考えた。今のところ、わたしにできることは...🤔
- ハイシーズンに山行きしない。うちは自営業なのでわりと自由に休みを取れる
- トイレのチップはきちんと払う。これまではどちらかと言えば義務感からだったが今は感謝の気持ちから
- やむをえずのキジ撃ちや花摘みは仕方ないとしても、使用した紙は持ち帰るか、紙を使用せずおしり洗浄器を使う。うちの主人は持病でとにかくトイレが近いので😅
- 携帯トイレを持っていく
今回の山行きでは使う機会がなかったが、以下の商品を持って行った。わたしたちは南国にしばらく暮らしたことがあり、紙を使用せずおしりを洗うことに慣れているし、かえってそのほうが清潔であるとさえ思う。ただ、それは南国での話。そこではすぐにおしりが乾くが、日本では果たしてどうか。夏だったらいけるかもしれない。使う機会があったら追って報告したい。
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